まちの眺望~自宅の購入とすみっこ暮らし(2015年12月)
ももが生まれてから、家が欲しくなった。
それまでは、借家。倒産した銭湯が、バブルの時にきっと金融機関にでもそそのかされたのだろう、二棟連結の建物で、西棟一階が銭湯、東西棟二階以上が賃貸マンション、東棟3階は全てオーナーズルーム、オーナーズルームには50㎡以上はある3階ルーフバルコニー、高いガラス天井、ロフトスペース、ロフトスペースからさらに4階ルーフバルコニーにも出られて遊べるという素敵な構造。
多分、多額の借金をして作ったのだと思う。1990年築だったが、メンテナンスが悪かったのか、作りが悪かったのか、築年数の割に劣化の状況が激しかった。
僕と妻はオーナーズルームが格安で貸し出されているのを知ると、速攻で契約。娘が生まれるまでの3年を暮らしていた。ルーフバルコニーにはウッドデッキを張り巡らし、テーブルとイスを置き、春から秋はバーベキューなどを楽しんだ。
楽しい家だったが、見た目が悪かった。建物がどことなく貧相で、家に入ると突然、バブル期のトレンディドラマのような部屋というギャップ。夫婦2人なら楽しいが、子どもと一緒だと楽しいような、風変りすぎるような。
毎日のようにSuumoやHOME'sを検索。物件を物色した。
最初は武庫之荘のメゾネット形式のマンション。ちょっと高いかなと思っていたら、ある日500万下がっていた。問い合わせるとすでに契約済みだった。残念だった。
それからは、それまで「買っても良いかな」くらいだった気持ちが、「買いたい」に代わり、夙川、御影、芦屋など様々な物件を物色。夙川でよさそうな物件があり、見に行くことに。お願いした不動産屋の若い女性スタッフが、たくさんの物件をリストアップしてくれ、一日で10件くらい見に行った。その中に、我が家が。
築50年のマンションだったので、ついでに見に行っただけだったが、少し古い印象はあるものの、50年経過したとは思えない管理状況。暮らしていた築25年の賃貸マンションの方が明らかにボロい。
部屋に入ると、フルメゾネット。一旦スケルトンにしてリノベーションされた部屋は広々としていて明るい。この広さでこのロケーションで新築だったら、桁が違うはず。そう考えるととても安い。僕でも手が出せる。そして何より眺望。大阪から和歌山、神戸まで一望できる。
しかも駅からわずか700m。六甲山系の端に位置しており、ただ高い位置にあるので眺望が良いというだけでなく、近景と遠景のコントラストが眺望の良さを引き立たせている。好印象だったが、その日は一旦帰宅。翌日、夕方に「一応、夜景も見に行こう」と夕方に再訪。夜景にキュンとなった。僕はすぐに決めた「買おう」と。
妻に伝えると「こんなに高い買い物を5分で決めて良いの?」といいながらも反対はない。自宅に帰ると不動産屋に連絡、少しばかり値切り、いくつか条件を交渉した上で購入。阪神間屈指の高級住宅街のすみっこでのあなたとの暮らしがはじまることになった。